2014年にShane Brett氏が設立したGECKO Governanceは、投資ファンドのポートフォリオに関連する規制とコンプライアンス要件をリアルタイムでスケジュール、管理、監視するレグテックファンド管理ソリューションを開発しました。
このソリューションのアイデアは、Brett氏の当時の実体験に基づいています。GECKO Governanceのリスク/コンプライアンス責任者であるMichelle McGuire氏は、次のように説明しています。「彼はコンサルタント企業で働いており、国際的な金融危機を受けて策定された新たな各種規制要件に銀行や金融サービス機関が対応するために手伝っていました。コンプライアンスプロジェクトに取り組んでいた彼は、役立つ業務支援ソフトウェアがないことに不満を抱いていました。概して、あらゆることがExcelのスプレッドシートで管理されていました。そのことからアイデアが浮かんだのです。」
コンプライアンスのナレッジとオペレーションに対応するガバナンスエンジン:GECKO
GECKOソリューション(GECKOはGovernance Engine for Compliance Knowledge and Operationsを表す)はコンプライアンスに関するエンドツーエンドのニーズを管理します。「このシステムはユーザーのニーズに応じて機能します。UCITS(Undertakings for Collective Investment in Transferable Securities:譲渡可能証券への集団投資事業)製品を発売しようとする場合は、そのために必要なすべての手順をシステムで完了させることができます。また、このシステムはブロックチェーンをベースとしており、データを検証可能にすると共に変更を不可能にしています。破壊したり、変更したりすることはできません。すべての操作の時間と実行者を示す完全な監査証跡が提供されるため、規制機関にとって非常に魅力的です」(McGuire氏)。
また、このシステムはMicrosoft Officeに完全に統合されています。「つまり、未完了の業務とリマインダーをすべて確認できるということです。システムがリマインダー設定に応じてユーザーのために考え、ほとんどのことを処理してくれます。ユーザーは、コンプライアンスのための手順のリマインダーと期限を設定すれば、業務の進捗率、期限、期限超過をそれぞれの段階で確認することができます」(McGuire氏)。
DMSおよびGrant Thorntonとの提携
本ソリューションへの反応は極めて良好です。当初、ファンドのガバナンス、リスク、コンプライアンスのコンサルティング企業として世界トップクラスのDMSによって展開され、その後、2016年に全世界でリリースされました。「以来、当社は米国のGrant Thorntonを始めとして、その他多くの大手団体と提携契約を結んでいます」(McGuire氏)。
GECKO Governanceは、現在はニューヨーク(米国)とシドニー(オーストラリア)に拠点を構え、アジア進出を目指しています。「(海外展開を担当する政府機関である)アイルランド政府商務庁には大変お世話になっています。ニューヨークとシドニーの当社のオフィスはアイルランド政府商務庁のイノベーションハブ内にあります。アイルランド政府商務庁には幅広い人脈があり、それを利用して瞬く間に事業を世界に展開することができます。アイルランド政府商務庁のシンガポール拠点の担当者の方たちと連絡をとれるようにしていただき、とても助かりました。アジアに進出しようとしているときに政府に支援を依頼すれば、素晴らしい成果が得られることでしょう。金融は国際的な事業であり、アイルランド政府商務庁はその重要な人脈を企業のために動員することができます」(McGuire氏)。
こうした支援は規制分野においても重要です。「アイルランド政府商務庁のおかげで、シドニーとシンガポールの法的機関と連絡をとることができました。同団体の支援は、デューデリジェンスに大変役立っています」(McGuire氏)。
GECKO Governanceは、非常に画期的な製品を今年後半にリリースしようとしています。それはGECKO Crypto1というコンプライアンスシステムであり、仮想通貨トークン取引市場に代わる自主規制の枠組みを実現します。最も重要な機能として、国際的な金融規制に準拠するための検証可能な独自のブロックチェーン監査証跡を提供します。
GECKO Crypto1システムは、ICOが実施される地域のコンプライアンス規則に応じて機能します。特定の規制がない場合は、ICO Governance Foundationがベストプラクティスとして概要を示している40の手順に応じて機能します。
特に重要な機能は、ICO(Initial Coin Offering)のサポートです。ICOとは企業が資金を調達するためのまったく新しい方法です。「ICOはベンチャーキャピタルや株式取引に代わるものです。従来のベンチャーキャピタルや債券市場よりも速やかに資金を調達するための近道であり、つまり、企業はより短い期間でより多くの資金を調達できるようになるということです。当社はICOによって独力で2,000万ユーロを調達しているところです。私たちは、このプロセスを実施することにより、実現しうる最高のソリューションを開発できると確信しています」(McGuire氏)。
「当社にとって非常に刺激的な時期です。私たちは、ICOによって調達した資金を利用して新しいソリューションの開発を完了し、国際的に展開するつもりです。私たちの目標は、ロンドンとアジアへの展開です。シンガポールと香港は国際的な金融ハブとして台頭してきており、アジアは将来当社にとって戦略上重要な地域になると認識しています。ロンドンも依然として国際金融の中心地であり、やはり戦略上の対象になっています」(McGuire氏)。